ー真っすぐ遠くへ飛ばすー

ゴルフというスポーツは「止まっているボールを打つ」静のスポーツである。
「飛んで曲がらない」ための方法は物理学によって説明できる。それには、真っすぐ飛ぶメカニズムをまず頭で理解する必要がある。
飛ばしを科学で理解し飛距離アップの参考にしていただきたい。

飛びの要素　ミート率

女子プロゴルファーの平均飛距離は240ヤード位。最近はクラブの進化に伴い飛距離はアップしているかもしれないが、彼女たちのヘッドスピードは40m/s。
アマチュアの男性と同じくらいだが、なぜ彼女たちの方が飛ぶのか？

ボールの飛距離は、ヘッドの重さ（質量）とヘッドスピード（速さ）で決まる。

ドライバーのヘッドの重さは女子プロとアマチュアの男性では大差ない。ヘッドスピードも大差はない。だとすれば、飛距離は同じはずである。しかしミート率が低いので飛距離は出ない。

ミート率はボールの初速÷ヘッドスピード。一言でいうとヘッドスピードをどれだけ落とさずボールに力を伝えるかを表す数値。
例えば、ヘッドスピード40m/s、ボール初速60m/sなら、ミート率は1.5となる。ミート率がよくなる方法は、クラブヘッドの芯でボールをとらえる事だ。

プロのミート率は1.4-1.5、アマチュアの男性の平均は1.2-1.3。この差が飛距離の違いを生む。
女子プロ、アマ男性のヘッドスピード40m/s、プロのミート率1.5、男性アマが1.3だとすると、ボール初速は女子プロ60m/s、アマ男性55.9m/sになる。
飛距離はボール初速の4倍なので、プロ240ヤード、男性アマ223ヤードになる。どんなにヘッドスピードが速くても、ミート率が悪ければ（芯で打てなければ）飛距離は出ない。
女子プロのようにミート率を上げ平均飛距離を伸ばすためには、スイング軌道が正しくなければならず、再現性が高くなることも条件に含まれ練習しなければならない。

ミート率を上げることで非力な女子プロは、アマチュア男性よりも飛距離を稼ぐとこが出来る。

飛びの要素　打ちだし角

「打ちだし角」とは、ボールが打ちだされた時の弾道と地面の間にできる角度。

理論的に説明すれば、空気がなければ４５度で打ちだされたボールがもっとも飛ぶと計算上証明されています。
実際地球には空気があるし、重力もあるのでボールを飛ばすためには適度なスピンが必要になる。総合に計算した理想的なドライバーの打ちだし角は13-18度が適正と言われている。プロのボールは、低く出て途中から二段ロケットの様にグンと伸びあがることでキャリーがでる。

打ちだし角を決めるのは、クラブのロフト角とスイング軌道。
計算上、高い打ちだし角と低スピンが飛ぶ条件となっており、ロフト角に2-4度プラスした角度が最適な飛距離が出る打ちだし角。
しかし、平均的なヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーはこうはいかない。ボールの初速がプロよりも低いので、打ちだし角が低いと、二段ロケットに点火する前にボールが失速し落下してしまう。
以上のことを元に計算すると、アマチュアの最適なロフト角は11-14度。打ちだし角は20-25度がベストになる。

市販のドライバーは9-10度くらいのものが多い。普通なら使いこなすのが難しいはずであるが、これには裏が隠されているのだ。ロフト角とは別にリアルロフトがあるのは知らない人が多い。表示のロフト角は9度でもリアルロフトは11度くらいになっている。これはメーカーが一般ゴルファーの見栄を満足させるための販売戦略です。ロフト角が少ないドライバーを使っている方が上手にみられる、のでそうしている。リアルロフト表示にすると全く売れなくなるただのメーカー戦略。

ボールが飛ばない、高く上がらないと悩んでいる人は、くだらない見栄を捨てて高ロフトのドライバーに持ち替えることをお勧めします。

飛びの要素　スピン量

「ボール初速、打ちだし角、スピン量」が飛びの三大要素
最大飛距離を出すための最後が「スピン量」
クラブのフェイスには溝がある。インパクトの瞬間ボールがこの溝のフェイス面をせりあがって行くときに生じるのがバックスピン。なので空に打ちだされたボールにはスピンがかかっている。
バックスピンは揚力を生み出す元であり、ボールを飛ばすためには欠かせないものであるが、スピン量が多すぎると吹き上がって距離が出ない。またサイドスピンがかかるとボールは曲がるのでこれもまた飛距離ロスになる。
適正なバックスピン量は、ヘッドスピード40m/sで2500r/s前後、ヘッドスピード45m/sで2800r/s前後と言われている。
ヘッドスピードの遅いゴルファーが低ロフト8度や9度などのクラブを使うと、バックスピン量がなさすぎてボールが上がらず距離が落ちたり、ヘッドスピードの早いゴルファーが高ロフトクラブを使うと、バックスピンが多くなりすぎてランも出ず全く飛ばない事態になってしまう。またドライバーはアッパー軌道で打つのが基本。尚且つ、ボールは左より、ティーアップしているので、アッパー軌道になるのが自然であまり意識しない方が良い。
スライスに悩んでいるのなら、アッパーではなくダウンブローでボールにあたっている為、バックスピン量が増えて飛距離のロスをしている可能性がある。
なので自分にあった最適なクラブを使用することをお勧めする。「ボール初速、打ちだし角、スピン量」が飛びの三大要素なのですべてが揃った時に最高のパフォーマンスを発揮できることになるでしょう。